タイ投資の基礎|株式市場・投資信託を不動産投資と比較して解説

不動産投資と並ぶ主要な選択肢として、株式投資があります。タイの不動産物件の購入をご検討の方からも、「タイの株式市場はどうですか?」というご質問をよくいただきます。

本記事では、不動産投資との比較検討に役立つよう、タイの株式市場と投資信託の基本ポイントを簡潔に整理いたしました。初めての方でも全体像をつかんでいただける内容を心がけております。

なお、本記事は特定の金融商品の購入や株式投資自体を推奨するものではございません。投資判断は、目的・運用期間・リスク許容度をご確認のうえでご検討ください。

1.タイ株式市場の要点

直近の動向(足もとの相場観)

  • SET Index は 1,246.00(2025年8月21日)で前日比 -0.17%**でした。8月中旬から1,240~1,280ptのレンジで弱含み推移が続いています。
  • マクロ面では、2025年4–6月期の実質GDPが前年同期比+2.8%と予想を上回った一方、観光の回復ペース鈍化が重石です。国家経済社会開発委員会(NESDC)は25年の外国人観光客見通しを3,300万人程度へ下方修正しました。
  • 資金フローでは、7月に外国人の買い越しへ転じたとの報道もあり、割安感からの物色は見られますが、政策・需要見通しの不透明感が指数全体の戻りを抑えています。

変動の特徴(傾向のつかみ方)

  • 観光依存度の高さ:空港運営(AOT)、LCC・航空(AAV/BA)、ホテル(CENTEL/ERW/AWC)、小売・外食(CPALL/MINT/BJC/CRC)など観光・内需関連の比重が高く、入国者数見通しに敏感です。観光客減速のニュースが出ると、関連セクター主導で指数が弱含みやすい傾向があります。
  • 為替(THB)の影響:バーツ安(THB下落)は、輸出・観光の価格競争力を押し上げやすい一方、外貨建て投資家の為替損を通じて海外資金の流出圧力がかかり、指数全体には中立~やや弱材料になりやすいという「相反する力」が働きます。学術・国際機関の研究でも、株式フローと為替の連動が指摘されています。
    • また観光の季節性が為替(THB)に影響し、繁忙期はバーツが強含み、閑散期に弱含むとする分析もあります。結果として観光×為替×株式の三者が循環的に影響し合いやすい市場です。

まとめると、観光需要・為替・海外資金フローの3点が、タイ株の短期トレンドを左右しやすいです。好材料(観光上振れ、政策進展、外資流入)が重なる局面では戻りが速く、逆に観光鈍化や為替不安が意識されると上値が重くなりがちです。

株価指数(指標)ガイド

タイ市場を把握するうえで、次の指数を押さえておくと全体観とスタイル別の動きを素早く掴めます。

  • SET Index:上場普通株の全体を表す総合指数(市場の体温計)。タイ証券取引所+1
  • SET50:時価総額・流動性上位50社。大型株の代表軸。タイ証券取引所
  • SET100:上位100社。大型〜中堅まで幅広くカバー。メディアセット
  • SETHD:大型・流動性良好で高配当方針の銘柄群。インカム重視の目安。タイ証券取引所
  • sSET:SET50/100以外で流動性が確保された銘柄群。分散のすき間を埋めます。タイ証券取引所
  • SETTHSI(SET ESG)ESG優良企業群の動き。サステナビリティ視点のベンチマーク。メディアセット
  • SETWB(Well-Being)外国人に魅力的かつGDPに寄与する7業種の30銘柄で構成。タイ証券取引所メディアセット
  • SETTRI(TRI)配当・権利等を含む総合リターン指数。実質的なパフォーマンス比較に有用です。タイ証券取引所
  • mai:新興市場。SMEやスタートアップ中心で、成長性高いが変動も大きめです。タイ証券取引所

2.外国人のタイ証券口座はハードルがあります。

まず押さえておきたいこと

  • 参入ハードルが大きいです。 一般にタイ居住が前提となり、年齢要件(満20歳以上)、長期ビザやワークパーミットタイの銀行口座タイの携帯番号などが求められます。証券会社によってはオンライン面談(Zoom等)郵送・オンライン提出の可否も異なります。
  • “ローカルの肌感覚”が重要です。 タイ市場は観光・飲食などサービス産業の比重が高いため、繁忙期/閑散期、渡航トレンド、商業施設の客足、外食需要の強弱といった現地の流行や生活実感が企業業績や株価に反映されやすい傾向があります。指数や決算だけでなく、現場感覚を補助線にすることを意識したいところです。

主な要件(目安)
・居住条件:タイ居住、満20歳以上
・必要書類:パスポート、90日以上有効の長期ビザまたはワークパーミットタイの銀行口座通帳
・その他:タイの携帯番号と緊急連絡先、証券会社による本人確認(オンライン面談など)


実際に証券口座を開くまでの流れ(一般例)

  1. 条件と提出物の確認
    居住・年齢・ビザ/ワークパーミット、銀行口座、携帯番号など必要要件をチェックします。
  2. 申し込み(Web/店頭)
    証券会社の公式サイトや支店から口座開設を申し込みます。会社により、申込後に必要書類一式が郵送される場合があります。
  3. 書類の記入・提出
    申込書に記入・署名し、パスポート・在留関連・銀行通帳のコピーなどを郵送またはオンラインで提出します(方法は各社規定によります)。
  4. 本人確認(e-KYC/オンライン面談)
    指定日時に**オンライン面談(Zoom等)**で本人確認を行います。追加質問や不足書類の再提出を求められることがあります。
  5. 審査・口座開設完了
    承認後、**ログイン情報(ID/パスワード)**や取引プラットフォームの案内が送付されます。
  6. 初期設定・入金
    2段階認証や通知設定を行い、タイの銀行口座から入金して取引準備完了です。
  7. 運用開始(情報収集の型づくり)
    取引に先立ち、指数・セクター動向+現地の景況感(観光客数の季節性、外食・小売の混雑感、イベント期など)を定点観測する体制を整えます。

注意:要件や審査基準、オンライン提出の可否は証券会社ごとに異なります。最新の必要書類・手続きは、必ず各社公式の案内でご確認ください。非居住者の取り扱い有無も会社により異なります。


3.リスク管理のチェックポイント(株式は“先進国中心”が無難かもしれません)

結論から申し上げますと、株式投資を行う場合は「先進国を中核」に据える考え方がリスク管理上、無難です。 理由は次のとおりです。

なぜ先進国をコアにするのか

  1. 投資環境と資金供給が整っているからです。
    先進国はVC・上場市場ともに規模が大きく、成長資金やセカンダリーの受け皿が豊富で、企業が成長しやすい土壌があります。
  2. 投資家層と支援体制が厚いからです。
    年金基金・エンダウメント等の長期資金が安定供給され、未上場株の流動化手段も相対的に整備されています。結果として“資金の質と量”が企業の持続的成長を後押ししやすいです。
  3. 歴史的なパフォーマンスと確度が比較的高いからです。
    長期の実績では、米国を中心とする先進国株式が多くの新興国株式を上回るケースが見られ、ボラティリティも相対的に安定しやすい傾向があります。
  4. 制度・法的基盤が安定しているからです。
    開示制度、ガバナンス、投資家保護などの枠組みが整い、想定外の制度変更リスクを相対的に抑えやすい点は、長期投資において重要です。

実務での組み立て方(チェックリスト)

  • コア/サテライトの発想
    • コア=先進国の広範インデックス(例:世界株・米国株)あるいは同趣旨の投資信託で分散と再現性を確保します。
    • サテライト=タイや新興国、特定テーマ(観光・消費など)を限定比率で上乗せします。
  • 通貨管理:投資通貨(USD・EUR・JPY)と生活通貨(THBなど)の関係、ヘッジ有無を確認します。
  • コスト:信託報酬・売買手数料・為替コストを合算で把握します。
  • 流動性:売買高、スプレッド、解約制限(投信)を確認します。
  • 分散の層:地域×セクター×時価総額×運用手法(インデックス/アクティブ)の多層分散を意識します。
  • 時間分散:積立や定期リバランスでタイミングリスクを平準化します。
  • 税・口座要件:源泉税・二重課税調整、現地の口座開設条件(居住・ビザ等)を事前確認します。

タイ市場の位置づけ

タイは観光・外食・小売などサービス比率が高く、現地の“肌感覚”が効きやすい市場です。景気循環や為替(THB)に敏感である一方、テーマが噛み合う局面では上振れ余地もあります。したがって、ポートフォリオの中では“サテライト”として活用し、コアは先進国で安定性を確保する設計が、リスク管理の観点からはバランスが取りやすいと考えます。

本パートは一般的な考え方の整理であり、特定商品の推奨ではございません。実際の投資判断は、目的・期間・許容リスク、各商品の最新資料に基づきご検討ください。


4.株式はおすすめではないのに、不動産投資はおすすめなのか

株式投資については、リスク管理の観点から先進国をコアにというお話をしました。一方で、タイ不動産は「現地の立地優位をダイレクトに取りに行ける実物資産」という性質があり、条件さえ整えば検討価値があると考えています。以下、その理由と前提を整理いたします。

株式投資と不動産投資の違い(不動産のほうが相対的にリスクが低い理由)

  • 収益構造
    株式は価格変動の影響を強く受け、短期のブレが大きい一方、不動産は家賃というインカムが軸になり、価格がゼロになりにくい実物資産です。
    • 新興国での得意・不得意
      株式は制度・資本市場の厚みがモノを言いやすく、先進国のほうが優位になりがちです。逆に不動産は“その場所にある”という希少性と立地需給が効きやすく、新興国でも立地が良ければ機能しやすい資産です。
  • 結論
    「新興国×株式」よりも「新興国×不動産」のほうが、資産組み合わせとして合理的になりやすいため、他エリア(先進国)のほうが優れている株式をわざわざ新興国で持つ構成は推奨しにくい、という整理になります。

資産形成フェーズの方にとってのメリット

  • 日本と比較して“良い立地を相対的に安価に取得しやすい”
    都市の中心や需要の厚いエリアでも、日本と比べて取得価格のハードルが低いケースがあります。
  • 不動産投資は“立地がすべて”
    立地が良ければ、賃貸需要が底堅くなりやすく、空室リスクを抑制し、価格下落リスクも相対的に小さくなります。
  • 投下額が小さいほど“損失の絶対値”も抑えやすい
    同等の立地感で日本より投下額が小さければ、万一の下振れ時の損失額も小さく済みます。
  • 利回り水準が相対的に高く、回収期間が短くなりやすい
    市場にもよりますが、日本より実質利回りが高めに出やすいため、元本回収までの期間が短縮される可能性があります。 ※個別物件の利回りは管理費・修繕・税・空室率等で大きく変わります。試算は実収支ベースでご確認ください。

すでに多くの資産をお持ちの方にとっての意義

  • 分散効果の向上
    通貨・地域・アセット(実物)を株式・債券とは異なる軸で分散できます。
  • インフレ耐性
    実物資産は物価上昇時に賃料・資産価格が連動しやすいため、リスクヘッジとして機能する余地があります。
  • キャッシュフロー設計
    安定した家賃収入をポートフォリオに組み込むことで、配当・クーポンと異なるキャッシュフロー源泉を確保できます。

進める際の前提と注意(重要)

  • 法規・持分制限の確認:外国人の所有形態や持分比率、管理規約、税制(取得・保有・売却)、送金ルール等を事前に精査してください。
  • 立地の選定プロセス:人口動態、交通・再開発、ホテル/観光需要、賃貸ターゲット(駐在・観光・学生など)を定量+現地肌感覚でチェックします。
  • 実質利回りの把握:管理費、修繕、家具家電、PMフィー、保険、空室率、税を織り込んだネット利回りで比較します。
  • 出口戦略:売却チャネル、想定保有期間、金利局面、為替(THBと手元通貨)の影響を事前に設計します。

まとめ

  • 株式は「先進国をコア」に置くのが妥当で、新興国株を主役にする構成はおすすめしにくいです。
  • 不動産は「立地」という実物資産ならではの強みがあり、タイの好立地を適正価格で取得できるなら、検討価値が十分あります。
  • 資産形成期は“良い立地×適正価格×実収支の健全性”を満たせば、安定インカムと短めの回収期間が期待しやすく、
    すでに資産をお持ちの方は
    分散・インフレ耐性・キャッシュフロー強化の観点で意義があります。

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