中国人観光客の回復とともに、タイ観光は次なるマーケットの開拓へ

― Bangkok Post(2025年7月31日)より ―

2025年7月31日付のBangkok Post によると、タイ観光当局および旅行業界は、かつて最大の市場であった中国人観光客の誘致再強化に向け、具体的な動きを開始しています。

パンデミックや安全性への懸念により落ち込んでいた訪問者数は、すでに最悪期を脱し、回復の兆しが見え始めています。


中国人観光客数、着実に回復中(統計上)

タイ観光庁(TAT)のターパニー総裁は、「中国からの訪問者数はすでに最低点を通過し、回復傾向にある」と述べ、安心材料として以下を挙げました:

  • 現在、1日あたり13,000〜15,000人が訪タイ(ピーク時は3万人)
  • 中国各都市からのチャーター便増便に向けて政府が支援

また、タイ政府は2025年7月〜2026年7月の1年間で最大1,000便のチャーター便に対して**総額7億5,000万バーツ(約30億円)**の補助金を用意しています。


現場から見た実感:「回復」はまだ遠い

実際にパタヤでホテル運営を行っている立場としては、政府やメディアが伝えるような「中国人観光客の回復」を強く実感することは正直ありません

2025年1月から現在(7月末)までにご宿泊いただいたお客様を国別に集計したところ、中国人のお客様は6番目に多い国という位置づけでした。

これは一見上位にも思えますが、かつて中国人観光客は圧倒的に1位を占めていたことを考えると、6位という順位は「回復した」とは到底言い難い状況です。

統計上は回復傾向が見られるかもしれませんが、現場ではまだその波を感じられていないのが現実です。


中国市場回復へ向けたロードショー展開

TATとタイ旅行業協会(ATTA)は、中国の重慶・蘭州・杭州において大規模な旅行博(ロードショー)を開催。50社を超えるタイ企業が参加し、1,000社以上の中国側旅行代理店とビジネスマッチングを実施しました。

重慶は特に注目されており、直行便があり、人口3,100万人を超える大都市。購買力の高い都市型富裕層をターゲットにしたマーケティング戦略が展開されています。


安全性への懸念と政府の対応

中国人観光客の間では以下のような出来事が、依然として訪問への心理的ハードルになっているようです:

  • コロナ禍の影響
  • 2018年のプーケットのボート事故
  • 誘拐詐欺報道
  • カンボジア国境での政治的緊張
  • バンコク・オートーコー市場での銃撃事件

この点について、タイ・チェンドゥ領事館のノップタイソン領事は「中国当局と協力し、誤解を払拭しつつ安全性を確保することに努めている」と述べています。


Z世代と今後の動向

重慶の大手旅行代理店・Ruitu社の幹部ワン氏は、次のように述べています:

「サムイやトランなどへのチャーター便への関心が高まっており、自然美や多様性、インフラ面での優位性から、長期的にはタイが選ばれる」

また、SNSで情報収集・意思決定を行うZ世代の台頭が、旅行業界に大きな変革をもたらしているとも指摘されています。


現在の外国人観光動向(2025年7月27日時点)

  • 訪問者数累計:1,900万人
  • 観光収入:8,800億バーツ
  • 国別訪問者トップ5:
    1. 中国(263万人)
    2. マレーシア(262万人)
    3. インド(135万人)
    4. ロシア(110万人)
    5. 韓国(88万人)

※出典:Bangkok Post, 2025年7月31日付 “Agents upbeat on Chinese market” by Boonsong Lipimas


✈️ 結論:回復市場と新市場の“二面作戦”へ

統計上は回復基調を見せている中国市場ですが、現場ではかつてのような賑わいには程遠いと感じるホテル・観光業者も少なくありません。

こうした中、タイ政府はかつての主力マーケットである中国の再活性化を狙いつつ、2026年に控える世界的イベント「Tomorrowland(トゥモローランド)」のパタヤ開催などを通じて、欧米や新しい世代の観光客層への訴求=新市場の開拓を並行して進めています。

今後の観光戦略は、「旧市場の再生」と「新市場の創出」のバランスにかかっていると言えるでしょう。

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